皆さんこんにちは!kodama-fsです。
皆さんは、道路や橋、トンネル、そして住んでいる家など、私たちの生活に欠かせない建造物がどのように作られているか考えたことはありますか? それらを造り上げるのが、今回解説する「建設業界」です。
実は、建設業界は今、大きな転換期を迎えています。 今回は、建設業界の歴史、デベロッパーとゼネコンの違い、そして業界が直面する2024年問題といった課題、さらには将来展望まで、詳しく解説していきます。 最後までどうぞご覧ください!
建設業界とは?
「建設業界はどんな仕事なのかな?」、「雰囲気ってどんな感じかな?」そんなこと思ったことはありませんか?日本における建設業界とは、社会基盤整備や建物の建設を通じて、国土の開発や国民生活の向上に貢献する重要な産業です。
道路、橋、トンネル、ダムなどの社会インフラから、住宅、オフィスビル、商業施設、工場など、私たちの生活に欠かせない様々な建造物を建設しています。
建設業界に入社する人はは建築学系や土木系の人が多いと思うかもしれませんが実際は文系の方も営業や企画で活躍されていることも多く多種多様となっています。
建設業によって私たちは安全にそして快適に暮らすことができます。地震や台風などの災害から守るための施設も、建設業の今までの知恵やノウハウなどの努力によって成り立っているのです。
ビジネスモデル
ここではデベロッパー、ゼネコンについて解説します。
建設業界において、デベロッパーとゼネコンはどちらも重要な役割を担っていますが、その役割は大きく異なります。
デベロッパー
デベロッパーは、いわば街づくりのプロデューサーのような存在です。
不動産開発の企画・立案から、用地取得、設計、建設、販売、管理までを一貫して行います。
- 主な仕事内容は以下の通りです。
- 市場調査に基づいたプロジェクトの企画・立案
- 用地の取得・開発
- 設計事務所やゼネコンの選定・発注
- 資金調達
- 販売・マーケティング
- 完成後の物件管理
これらの工程によって、最適な土地を手に入れ、建物の設計や建設、さらには完成後の販売や管理まで、プロジェクト全体を統括する役割を担います。
ゼネコン
デベロッパーが描いた夢を実現する、建設のエキスパートです。デベロッパーから依頼を受け、設計図に基づいて建物を実際に建設していきます。
- 主な仕事内容は以下の通りです。
- 施工計画の作成
- 資材調達
- 工程管理
- 品質管理
- 安全管理
- コスト管理
彼らは、土木や建築に関する専門的な知識や技術を駆使し、施工計画の作成から資材調達、工程管理、品質管理、安全管理、コスト管理まで、あらゆる面を管理しながらプロジェクトを推進します。巨大なビルや橋、トンネルなどを、安全かつ高品質に作り上げる、まさに「ものづくり」のプロフェッショナル集団といえるでしょう。
デベロッパーとゼネコン
デベロッパーとゼネコンの関係は、例えるなら、映画製作におけるプロデューサーと監督のようなものです。プロデューサーが映画全体の企画や資金調達、配給などを担当し、監督が現場で俳優やスタッフを指揮して映画を完成させるように、デベロッパーがプロジェクト全体を統括し、ゼネコンが現場で建設工事を指揮して建物を完成させます。
例えば、マンション建設の場合、デベロッパーが土地を取得し、マンションの企画・設計を行い、ゼネコンに建設工事を発注します。デベロッパーは、周辺環境や住民ニーズを考慮しながら、どのようなマンションを建てるべきか考え、間取りや設備、デザインなどを決定します。そして、ゼネコンは、デベロッパーの指示に基づき、安全かつ効率的に工事を進め、高品質なマンションを完成させます。
建設業界ランキング
バフェットコードによると建設業界ランキングは以下のようになります。
順位 | 会社名 | 売上高(百万) |
1位 | 大和ハウス工業 | 5,202,919 |
2位 | 積水ハウス | 3,107,242 |
3位 | 鹿島建設 | 2,665,175 |
4位 | 大林組 | 2,325,162 |
5位 | 清水建設 | 2,005,518 |
大和ハウス建設が1位となっており、売上高は5兆円を超えています。また、2026年の連結売上高を5.5兆円と目標としており、うち1兆円は海外事業としているそうです。
2位の積水ハウスでは、デジタル技術を活用し、新規事業の開拓と拡張を推進しています。実際、2023年10月にNTTドコモと業務提携を発表しており、dポイントやdカード決済、d払いアプリとの連携、ドコモショップを利用したサービスなどが予想されます。
建設業界の2024年問題
続いて、「2024年問題」です。聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。
2024年4月から労働基準法の改正により時間外労働の上限の規制(月45時間、年360時間)の適用がされました。2024年問題とはこの労働基準の改正により、人手不足がさらに加速するという問題です。
建設業界は他の業界と比較しても長時間労働が慢性化しており、時間外労働によって労働力を補ってきました。
赤色の線の建設業界を見てみると2007年は年間実労働は2065時間、2016年では2056時間と製造業や調査産業計よりも変化がないことが分かります。
また年間出勤日数の推移のグラフを見てみると、調査産業計は2016年では222日なのに対し建設業では251日と30日も差があることが分かります。
このようにして長時間労働の慢性化が未だ解決されていません。
2024年問題に対処するためには業界全体の改革が必要です。
解決策
まず、労働時間削減への取り組みが重要です。長時間労働が常態化していた建設業界では、業務の効率化や生産性向上が喫緊の課題となっています。そのために、ICT技術の活用による施工の効率化、BIM/CIMなどの導入による設計・施工の連携強化、工程管理の徹底による無駄な時間の削減などが進められています。
次に、人材確保も重要な課題です。少子高齢化による労働力不足を解消するために、建設業界では、若年層や女性、外国人労働者の積極的な採用、働き方改革による労働環境の改善、建設業の魅力発信など、様々な取り組みが行われています。
建設業界の将来
建設業界の売り上げ規模は2022年(R4)で14兆円を超えています。
さらに、土木建築工事は10兆円を超えており売り上げの50%以上を占めています。
また今後も市場規模は増加することが予測されており、日本産業の重要な基盤となっています。
明るい面としては、老朽化インフラの更新需要や都市部の再開発、防災・減災対策などの需要増加、BIM/CIMやi-Constructionなどの技術革新、環境負荷低減への取り組みなどが挙げられます。
一方、暗い面としては、少子高齢化による人材不足、2024年問題への対応の遅れ、労働生産性の低さ、建設資材価格の高騰、海外企業との競争激化などが挙げられます。
建設業界は、社会を支える重要な産業です。
課題を克服し、持続的な成長を遂げるためには、ICT技術の活用、働き方改革、人材育成、環境への配慮など、様々な取り組みが必要となります。
建設業界の将来は、業界全体の努力によって切り開かれます。
今後も建設業界の動向に注目していきましょう。